【完】鵠ノ夜[上]
ため息をつくレイちゃん。
ぼくの誕生日が5月で、こいちゃんが7月、シュウくんが11月、ゆきちゃんが2月、はりーちゃんが3月。
つまり必然的に、この場ではレイちゃんが最年長ということになるらしい。
それについてはすごく納得するけど、ぼくとはりーちゃんの誕生日がわずか2ヶ月しか変わらないことに激しく違和感。
五家の中でいえば、彼が一番常識人で大人なのに。
「レイちゃんが一緒に夕飯ってめずらしいよねー。
……そういえば、小豆さんは?一緒じゃないの?」
「ああ、今月の休みがうまく調整できなかったから今日は午後から休みなの。
……和璃と夕飯食べに行くって言ってたわよ」
「小豆さんって彼女いないの?」
「いたらわたしなんかに仕えてないで、ほかの仕事しなさいってとっくに薦めてる。
たまには酔い潰れるぐらい飲んで帰ってきて欲しいところだわ」
小豆さんが酔い潰れるところって、本当に想像できない。
酒豪だって誰かから聞いたし、あの小豆さんがお酒で酔うとは思えない。どう表現すれば良いのかわからないけど、毒すら効かなさそうな人なのだ。
「……まあでも、今日は無理でしょうね。
なんせ、和璃が小豆を呼び出した理由は結婚報告なんだもの」
「え!? 和璃さん結婚するの!?」
「ええ。和璃の店にいる女性と。
……心からしあわせになってくれるのなら構わないけど」
小皿にサラダを取り分けながら言うレイちゃんに、首を傾げる。
なんだろう、おめでたい話題なのに、レイちゃんの表情が良くない。……良くないっていうか、どこか哀しんでるような。
「和璃……ずっと好きだった人がいたのよ。
それこそ、もう軽く十年以上の片想いなんだけど」
「、」