【完】鵠ノ夜[上]



とにかく明日のサプライズも喜んでくれるといいな、と思いつつ。

たどり着いた御陵家。別邸で先に帰っていた二人と、プレゼントと花の確認をし終えたあと。夕食の時間だと、本邸のいつもの部屋に行けば。



「皆様失礼致します」



突然部屋に入ってきたのは、小豆さんで。

どうかしたんですか?と何気なく問いかける。



「雨麗様と、連絡が繋がらないのですが……

どなたか、行き先をご存知ないですか?」



「え……?小豆さんと帰ってきてんでしょ?」



「それが……

"用事ができたから迎えにこなくていい。夕飯までには帰るから"と連絡を頂きましたので、本日はお迎えに上がっておりません」



……なん、か。嫌な予感がする。

誰からともなく順番にお嬢のスマホに連絡を入れてみたけれどどれも応答はなくて、焦燥感だけが背中を伝った。




どうして、今日に限って全員別行動をしたのか。

普段なら一人くらいお嬢と一緒なのに。何かあったらそれこそ、お嬢の護衛係の意味が無い。小豆さんは冷静ながらも的確に指示をしているようで、組員がGPSに反応はないと知らせに来た。



「俺らも探します、小豆さん」



「ありがとうございます。

ですが、雨麗様は一人で何か勝手な行動をされる方では無いはずのですので。冷静に考えれば、なにかヒントが……、」



言いかけた小豆さんが。

すぐさまそばにいた「雨麗様の学校に連絡してください」と声をかける。……なんで学校?



「雨麗様、ストーカーされている様でして」



「は!?」



「手紙だけで被害はないと仰ってましたが、おそらく相手は学校の方ですので、」



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