【完】鵠ノ夜[上]



いつも通りな、和やかな雰囲気。

シュウくんは「自業自得だろ」と言ってるし、はりーちゃんも普通に会話を聞いているから、怒ってはないはず。……大丈夫、なのかな。



「しれっとそういうことされると腹立つ……」



「お前がオープンすぎるだけでしょ」



「せめて俺には言えよ……!」



「え、どう考えても一番話したくないよね」



「なあこいつどう思う〜!?」



……いつも通りだ。ほんとにちょっと前まで喧嘩してたと思えないぐらい、いつもの雰囲気だ。

こいちゃんとゆきちゃんがレイちゃんのことで言い争って、周りが苦笑して。




「ああ、でも……

『たとえレイに直接言われたとしても、俺はレイのことあきらめるとか無理だから』って言った」



「はあ!?

俺もあきらめるわけないでしょうに!?」



「……いや、レイに直接言ってよそれ」



「お嬢今どこにいるか知ってる?」



「せめて後にしろよ。

つーか胡粋の意見よく通ったな。あいつ絶対『あきらめろ』って言いそうじゃねーか」



「ああ、うん。

意外と『好きにしたら?』ってあっさりだった」



……泣きそう、だ。

ゆきちゃんに話を聞いてもらって、いっぱいいっぱいだった自分から解放されて、泣いたけど。今度は仲直りできた安心感に泣きそう、だ。



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