【完】鵠ノ夜[上]



羽織っていたパーカーを脱いだ雪深。肌の色がとにかく白い。知ってたけど。

名前にぴったりね、なんてどうでもいいことを考えながら寝転んだ雪深の背中に日焼け止めを伸ばす。あとでわたしも誰かに塗ってもらおう。



「雪深ずるいんだけどー」



「……ずるくねえもん」



「レイ後で俺にも塗って」



いいわよ、と返事して顔を上げたら、芙夏の背中に柊季が日焼け止めを塗ってあげてるのが見えた。

柊季って妹がいるから、なんだかんだ面倒見が良い。よく芙夏のことも遊びに連れて行ってあげてるみたいだし、仲が良くて何よりだ。



「シュウくんありがとー。

僕も塗ってあげるねー。あ、はりーちゃんも塗ってあげるからこっち来てー」



なんだろうあの平和空間。

和む、と三人のやり取りにほっこりしながら雪深の日焼け止めを塗り終えると、胡粋と交代する。手際よく終わらせ、今度は自分で塗れるところに先に伸ばしておく。




「あら、和璃も櫁も来るの早い。

ねえどっちでもいいから背中に日焼け止め塗ってくれる?」



「え、お嬢なんで俺らがいんのにスルーなの?」



「……雪深と胡粋のどっちかに頼んだらすぐ揉めるから。

和璃、お願いしてもいい?」



「いいよ。貸して?」



日焼け止めを手渡して、パーカーのファスナーを下ろす。

寝転んで髪が邪魔にならないように掻き上げると、和璃が日焼け止めを塗ってくれる。別になんてことないスキンシップというか。



「あ、邪魔だったら背中の紐解いていいわよ」



「んー。解くから胸元押さえといて。

っていうか雨麗ちゃん、これ一人でよく結べたね」



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