一晩だけあなたを私にください~エリート御曹司と秘密の切愛懐妊~
すると、聞き覚えのある声が聞こえた。
「もしもし、山本?」
その声を聞いて顔から血の気が引いた。
記憶よりも低いが彼の声で間違いない。
それは私の結婚相手で、高校時代私をレイプしようとした男。
松本悠馬。
まさか彼から電話がかかってくるなんて思ってもみなかった。
恐らく父が私の番号を彼に教えたのだろう。
一体なんの用でかけてきたのか。
どうせ四月になったら会うのだから、今は放っておいて!
慌てて電話を切るが、心臓がバクバクしてすぐに動けなかった。
彼から電話がかかってきて改めて思い知る。
福井に戻ったら彼に嫁ぐんだって……。
息が苦しくなってしゃがみ込んだら、誰かが私の背中に手を置いた。
「君、大丈夫か?」
胸に手を当てながら顔を上げて相手を確認すると、以前美味しいステーキをご馳走してくれた怜の叔父さんが目の前にいた。
「あれ? 君は怜の……。具合が悪いのか?」
ストライプのシャツにジーンズとカジュアルな格好だが、背が高いせいかモデルみたいでかなり目立つ。
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