一晩だけあなたを私にください~エリート御曹司と秘密の切愛懐妊~
「そうか。前に高熱出したって話を怜がしてたが、体調はいいのか?」
「最近は体調よかったんですけど、急にあったかくなって身体が対応できてないのかも」
怜の叔父さんには本当のことは言えなかった。
あの人の声を聞いただけでこんなにショックを受けるなんて……。
実際に松本に会ったらどうなってしまうのだろう。
しかも、ゆくゆくは彼と結婚して一緒に暮らすのだ。
考えただけで気分が悪くなる。
「俺が言うのもなんだが、今日は会社早退したらどうだ?」
私を気遣う怜の叔父さんに明るく笑って見せた。
「大丈夫です。マスターの顔を見たら治りました」
ひとりで家にいたら松本のことを考えて暗くなる。
それより仕事をしていた方がいい。
「修二でいいよ。怜の知り合いだしな」
彼がウィンクしたら、ドアが勢いよく開いて怜が飛び込んできた。
「雪乃が倒れたって?」
息咳切って現れた怜を見て、修二さんがニヤリとする。
「速いな。走ってきたのか?」
「ああ。雪乃の具合は?」
私に目を向ける怜に苦笑いしながら言った。

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