一晩だけあなたを私にください~エリート御曹司と秘密の切愛懐妊~
「あの……大丈夫。ちょっと気分悪くなっただけで倒れてないし、迎えにまで来なくてよかったのに」
きっと打合せを抜けてきたのだろう。
「修二さんは倒れたって言ってたけど」
私の話に納得しない顔をする怜。
「まあ、ちょっと脚色した。お前が飛んでくると思って」
修二さんの説明を聞いても怜は私を病人扱いする。
「タクシー呼ぶから今日はもう帰った方がいい」
「大袈裟だなあ。本当に大丈夫だから仕事させて。お願い、沖田大明神さま」
手を合わせてお願いすると、彼は渋々折れた。
「また具合が悪くなったら有無を言わさず早退させる」
「了解です、沖田課長」
私が元気よく敬礼して見せると、修二さんが笑って突っ込んだ。
「そこは沖田大明神じゃないんだな」
それから店を出て会社に戻ると、亜希ちゃんが心配そうに私に声をかけた。
「雪乃先輩、沖田さんから倒れたって聞きましたよ! 大丈夫ですか!」
「倒れてはいないんだけど、なんか心配かけちゃってごめんね。道歩いてたら急に気分悪くなっちゃって。貧血かなあ」

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