一晩だけあなたを私にください~エリート御曹司と秘密の切愛懐妊~
ハハッと笑ったら、怜がそんな私を見て亜希ちゃんに指示を出した。
「沢口さん、山本の顔色悪くなったらすぐに帰らせて」
「任せてください」
真剣な顔で返事をする彼女を見て、ハーッと溜め息をつく。
「本当に大丈夫ですよ。みんな大騒ぎしすぎ」
「山本は具合が悪くても無理するからだよ。それじゃあ、沢口さんよろしく」
私の頭をクシュッとすると、怜はオフィスから消えた。
「雪乃先輩愛されてますね。沖田さんの言ってた難攻不落の美人って雪乃先輩のことでしょう?」
自信を持って言う彼女の言葉を声を潜めて否定した。
「……違う。うちの会社の御曹司の彼が私を好きになんてならないよ」
「そういうことにしておきますけど、沖田さんには三月で辞めること話しておいた方がいいんじゃないですか?」
急に真面目な顔をする彼女に念を押した。
「それはダメ。亜希ちゃんも言わないでね、お願い」
「先輩……」
なにか言いたげに私をじっと見つめる彼女にニコッと笑った。
「ほら、仕事しよう。やらなきゃいけないことがいっぱいあるから」
< 107 / 243 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop