一晩だけあなたを私にください~エリート御曹司と秘密の切愛懐妊~
溜め息交じりで返事をしてパソコンの電源を落とす。
怜って結構過保護だよね。
亜希ちゃんがニヤニヤして私たちのやり取り見てるの気づいてる?
目で訴えるが、彼はまだ続ける。
「ちゃんとご飯食べて今日は早く寝ろよ」
「沖田くん、私のお母さんみたいだよ」
彼に文句を言ったら、倍返しされた。
「そうさせてるのは山本。本当に倒れられたら困る。前科があるからな」
「嫌な言い方しないでください。仰せの通り帰ります」
バッグを持って亜希ちゃんに軽く手を振ると、怜に一礼してオフィスを出る。
エレベーターに乗ろうとしたら彼が追ってきた。
「まだなにか?」
怜を見据えると、彼は「ちょっと強く言い過ぎた。ごめん」と謝る。
彼の謝罪を聞いてハッとした。
私……なんでイライラしているんだろう。
松本から電話がかかってきて神経が張り詰めているのかな?
「……私こそごめんなさい。イラッとしちゃって」
反省する私に彼は優しく微笑む。
「疲れてるんだよ。タクシー呼んでおいた。支払いは済んでるからちゃんと乗って帰るように」


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