一晩だけあなたを私にください~エリート御曹司と秘密の切愛懐妊~
見るからに痛そうだ。
屈んで患部に触れると、彼女は「うっ」と顔をしかめた。
「足をちょっと捻っちゃって……」
この腫れ具合、ちょっとどころじゃないだろ。
「病院に行こう」
こんなに腫れていると、骨にヒビが入っていないか心配だ。
「平気だよ」
強がる彼女を叱りつけるように言った。
放っておいたら大変なことになる。
「ダメだ。俺が平気じゃない」
すぐにタクシーを呼んで知人が経営している病院に連れて行く。
改めて病院で雪乃の顔を見たら、かなり憔悴していた。
すぐに診てもらえてレントゲンを撮った結果、「捻挫ですね」と医師に言われた。
骨にヒビが入っていなくてホッとするも、それで終わりではない。
突然雪乃がうちにやってきた理由がまだわからない。
湿布薬をもらって雪乃をうちに連れ帰るが、ほとんどなにも話さない彼女をリビングのソファに座らせた。
「ご飯は食べた?」
「ううん。怜もまだだよね? 私なにか作るよ」
立ち上がろうとする雪乃の肩に手を置いた。


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