一晩だけあなたを私にください～エリート御曹司と秘密の切愛懐妊～

「全然。俺としては大歓迎。雪乃が帰った日の夜とか寂しくて枕濡らして寝てるよ」
茶目っ気たっぷりに言うと、雪乃が笑顔を見せた。
「嘘。私が帰ったくらいで泣かないよ」
やっと笑った。
「寂しいのは本当。冷めないうちに食べよう」
ふたりでいただきますをして食べ始める。
「今日雪乃が帰った後、渡辺が沢口さんに怒られてた。デスクに並んでいる栄養ドリンクの瓶片付けてください』って」
俺がそんな話を振れば、彼女は「ああ。渡辺くんのデスクの上に五本くらい置いてあった」と相槌を打つ。
そんなくだらない話をして雪乃の不安を少しでも軽くしようとするも、彼女はパスタを半分くらい残した。
心配だが、ひとりでいるよりはいい。
俺のところに来たということは助けを求めているのだ。
食事を終わらせると、彼女に尋ねた。
「雪乃、なにがあった？」
いつまでも引き延ばしてはおけない。
なにも話さないかと思ったが、彼女は躊躇いがちに話した。
「……会いたくない人に会っちゃって」
今日はタクシーで寮に帰ったはず。