一晩だけあなたを私にください～エリート御曹司と秘密の切愛懐妊～
「おはよう。亜希ちゃんまでやめてよね」
彼女に怜のところに泊まっていたことを話してはいないけど、きっとバレているに違いない。
だって、『どうして同伴出勤なんですか？』という他の人が聞いてくる質問をしない。
それは彼女が私と怜の関係に気づいているからだと思う。
「ハハッ、すみません。もう足はいいんですか？」
「まだ体重かけるの怖いけど、腫れは引いたよ」
ヒールのある靴はまだ履けないけど、歩くのは問題ない。
「無理しないでくださいね」
「うん。わかってる」
小さく笑って返事をすると、すぐに仕事に取り掛かった。
お昼になると亜希ちゃんと社食に行くが、食欲があまりなくてメニューを見ただけで気分が悪くなった。
食欲がないのはいつものことだけど、料理を想像したり、メニューを見て気持ち悪くなるのは二日くらい前からだ。
松本との結婚のカウントダウンが始まったからだと思うが、食べなければ持たない。
今倒れて会社を休むわけにはいかないのだ。
そんなことを考えていたら、渡辺くんに声をかけられた。今日はいつも一緒にいる怜がいないからひとりだ。
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