一晩だけあなたを私にください～エリート御曹司と秘密の切愛懐妊～

ふたりのやり取りにクスッと笑う。
奥のテーブルに着くが、亜希ちゃんが「あっ、水忘れた。先に食べててください」と言って席を立った。
食べててと言われたが、胃が受けつけない感じがする。
じっとキツネうどんを見ていたら、渡辺くんがそんな私を気遣うように言った。
「食欲ないみたいだね。そう言えば、俺に姉がいるんだけど、悪阻が酷い時そんな顔して即席麺のうどんのやつ毎日食べてた」
彼に話に驚きを隠せなかった。
「え？　妊婦さんなのに、即席麺？」
決して身体にいいとは言えないと思うのだけど。
目を丸くする私を見て渡辺くんがクスッと笑う。
「それしか食べられなかったらしくて、足りない栄養はサプリメントで補ってたよ。女の人ってさあ、いろいろ大変だよね。だから、山本さんもさあ、体調悪い時は沖田や俺に頼りなよ。迷惑になんて思わないし、むしろ頼られて嬉しいから」
「うん。ありがと」
彼の優しさに心がほっこりするも、ある可能性が頭を過った。
身体の異変を感じるのは悪阻のせい？