一晩だけあなたを私にください～エリート御曹司と秘密の切愛懐妊～

「そのアドバイスいらないよ」
胸が苦しくなるのを感じながらそう言ったが、亜希ちゃんは話を続けた。
「そうですか？　でも、この間社長がうちのオフィスにフラッとやってきて部長に先輩のこと聞いてましたよ。部長も『沖田課長と山本さんはお似合いですよ』と満面の笑顔で勧めてましたよ」
彼女は面白そうに語るが、私は青ざめた。
竹下部長、社長になに言ってるんですか！
「私は田舎に戻るんだから関係ないよ」
動揺しつつも澄まし顔で返してうどんを黙々と食べる。
しかし、他の料理の匂いも気になって、社食にいるのも苦痛になってきた。
ここで食べなければ彼女に説教される。
なんとかうどんを完食してオフィスに戻ったが、なんだか身体が怠く感じた。
それで余計に妊娠の可能性を考える自分を叱咤した。
しっかりしなきゃ。
あと数日なんだから頑張らないと。
気合を入れて仕事に集中する。
今日は怜は大阪出張でいないから、残業しても大丈夫だろう。
そう考えて定時を過ぎても仕事をしていたのだが、しばらくして渡辺くんに声をかけられた。