一晩だけあなたを私にください~エリート御曹司と秘密の切愛懐妊~
福井に戻ったら、松本に結婚出来ないと話して、少しずつでもお金を返していこう。
今私の貯金は五百万ある。
五年間無駄遣いせずに貯めたお金だ。
まずはこれを渡して話を進めよう。
周りに亜希ちゃんや渡辺くん、それに怜がいないのを確認すると、バッグからゼリーを取り出す。
その時、スマホのバイブ音がした。
実家からと思って無視しようとしたのだが、画面が見えて【恵子さん】と表示されていた。
恵子さんというのは私の叔母のこと。
慌ててスマホを手にし、メッセージを確認する。
【雪乃ちゃん、今お昼よね? 会えない? 会社の近くに来ているの。今日か明日には福井に帰るんでしょう?】
恵子さんはは亡くなった母の妹。三鷹で美容院を経営していて、私が学生時代にお世話になった人だ。
年が四十歳ということもあって叔母というよりは姉のような存在。
私は高三の冬から、沖田不動産に就職するまでずっと叔母の家に住んでいた。
東京には松本がいない。
それに、東京では誰も私を知らない。

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