一晩だけあなたを私にください～エリート御曹司と秘密の切愛懐妊～

だから、全ての責任は私にあるし、私ひとりで背負っていく。
父が知ったら勘当させられるかもしれないが、私はそれで構わない。
上京してからずっと父の存在を忘れて暮らしてきた。
明日福井に帰ることを父に伝えてはいるけど、きっと停留所まで迎えには来ないだろう。
父はそういう人だ。
タクシー呼べるかな？
早朝に着くから微妙だ。
最悪、実家まで歩いて帰らないと。
帰って松本と結婚できないと伝えたら父は激昂するに違いない。
でも、たとえ父に殴られても私の気持ちは変わらない。
スマホをじっと見つめて物思いに耽っていたら、目の前の席に誰かが座った。
「やあ、どっか出かけるの？」
顔を上げたら、修二さんが穏やかな笑みを浮かべて私を見ている。
……マズい人に見つかってしまった。
なんて答えよう。
「顔に『どうしよう』って書いてあるぞ。怜には内緒か？」
口調は優しいが咎められているような気がするのは怜に対して罪悪感があるせいだろうか。