一晩だけあなたを私にください～エリート御曹司と秘密の切愛懐妊～

「そんなこと言わず素直に甘えておけよ。山本はもうちょっと人を頼ることを覚えた方がいい」
「ひょっとして私をお説教するために連れてきた？」
大袈裟に驚いて見せる私に彼はニヤリとする。
「ご名答」
「なんか入っていけない雰囲気だが、ふたり付き合ってるのか？」
怜の叔父さんがワインを口にしながらとんでもない勘違いをするものだからすぐに否定した。
「ち、違います！　同期で……あの……その……私は沖田くんの部下です」
言いながらちょっとムキになりすぎたと反省する私。
「山本、そこは嘘でも『はい』って言わないと、この人に口説かれる」
沖田くんに突っ込まれたけど、真顔で言い返した。
「それはないよ。私魅力ないもん」
「雪乃のそういう無自覚なとこ、お兄ちゃんは心配だわ」
沖田くんが突然下の名前で呼ぶものだから激しく狼狽えた。
「い、いつから私のお兄ちゃんになったのよ！」
「たった今から」
悪戯っぽく目を光らせる彼を見てズルい人だと思った。
もうこれ以上私をドキドキさせないでほしい。