一晩だけあなたを私にください~エリート御曹司と秘密の切愛懐妊~
普通の同僚の振りをしてもムダだ。
なぜならこれから俺が叔母さんと話をするから。
雪乃の肩を叩いて笑顔を作る。
「それなら俺も駅に行くから。送って行きますよ」
「え? それは申し訳ない……」
雪乃の叔母さんが驚いた顔をするが、俺は強引に話を進めた。
「駅まで一緒ですから。それじゃあ、雪乃、歓送会の会場で」
相手に断る隙を与えてはいけない。
雪乃に軽く手を振ると、彼女の叔母さんと駅の方に向かう。
「実は雪乃さんとお付き合いさせていただいています。ただ最近の彼女はなにか悩んでいるようで心配で、心当たりはないでしょうか?」
単刀直入に話を切り出すと、彼女は少し戸惑いながらも俺の目を見て言った。
「……お時間あったらお話できませんか? 私もあの子のことが心配で」
「では、そこのカフェでお話を聞かせてください」
雪乃に見つからない方がいい。
彼女のことをいろいろ叔母さんに聞きたいのだ。
少しくらいなら時間がある。

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