一晩だけあなたを私にください～エリート御曹司と秘密の切愛懐妊～

パチッとウィンクして沢口さんは渡辺のいる席に移動する。
頭の回転は速いし、いろいろ気遣いができるし、いい子だと思う。
「そう言えば、まだ言ってませんでした。常務昇進おめでとうございます」
手前にあったビール瓶を持って竹下部長のグラスに注ぐと、彼は苦笑いした。
「ありがとう。沖田課長には山本さんの件で恨み言をいっぱい言われると思ってたよ」
「言ってもいいですが、一時間では終わりませんよ？」
フッと微笑したら、竹下部長も俺の目を見て笑った。
「目が怖いね、沖田課長。僕もね、彼女を引き止めようとも思ったんだけどさあ、君が動くってわかってたから彼女の退職願受理したんだ」
「自分を正当化しないでくださいよ」
「ハハッ。ごめん、ごめん。お詫びに部長の僕から君に最後の命令を出すよ。明日の午後、うちの福井支社に新部長として挨拶してきてくれないかな。あそこの支社長にはお世話になってね」
竹下部長の言葉にすぐに返事出来なかった。
「……部長」