一晩だけあなたを私にください～エリート御曹司と秘密の切愛懐妊～
父は私が過去に松本に強姦されそうになったことを知らない。
ズキッと胸が痛くなるのを感じながら「そうなのね」と言ってご飯を口にする。
そんな私を兄がじっと見ていたが、気づかないふりをした。
朝食を食べ終わると「すみません。ちょっと休みます」と言って自分の部屋に行かずにトイレに直行する。
吐き気が酷くて食べたものを全部戻した。
胃の中が落ち着いてトイレを出ると、美久さんがいてハッとした。
「雪乃ちゃん……ひょっとして……！」
次になにを言われるかわかっていたから、咄嗟に彼女の口に手を当てて声を潜める。
「シッ！　それ以上言わないでください。今はなにも聞かないで。お願いします」
妊娠のことは知られたくない。
必死にお願いしたら、彼女は私の目を見て頷いた。
「今は誰にも知られたくないんです」
そう伝えて美久さんの口から手を放すと、彼女は小声で私に確認した。
「松本さんの子じゃないわよね？」
「……はい。兄にも内緒にしてください」
少し迷ったけれど、本当のことを彼女に話した。

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