一晩だけあなたを私にください~エリート御曹司と秘密の切愛懐妊~
私の話を聞いて彼女は一瞬大きく目を見開いた。
恐らく『社長令息』ということにビックリしたのだろう。
「雪乃ちゃんが働いてたのってあの有名な沖田不動産よね?」
少し興奮興奮気味に確認してくる彼女の目を見て頷いた。
「ええ。御曹司ですけど、奢ったところはなくて春の日差しのようにあったかい人です」
怜をそう評したら、彼女は小さく微笑んだ。
「とっても素敵な人なのね」
「彼にはなにも告げに会社辞めて福井に戻っちゃって……。赤ちゃんができたことも彼は知らないんです」
現在の怜との状況を説明すると、彼女は理解を示した。
「そう。まあ、私が雪乃ちゃんの立場で赤ちゃんできちゃったら、同じことしてたかも。でも、それじゃダメってわかっているのよね?」
「ええ。この縁談を破談にしたら、彼に全てを打ち明けます。いっぱい怒られるかもしれないけど」
自分の考えを話して笑ってみせたら、彼女は少しホッとしたような顔をした。

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