一晩だけあなたを私にください~エリート御曹司と秘密の切愛懐妊~
「赤ちゃんは宝だもの。私は愛すわよ。誰でも授かるわけではないし、私もいつか海との子ができたらいいな」
美久さんが私のお腹に目を向け、優しく微笑む。
子供が欲しくてもできない人だっている。
お兄ちゃんと美久さんも子宝に恵まれますように!
「そしたら姉妹でママ友になれますね」
茶目っ気たっぷりに言うと、彼女も「子供はいとこになるのよね。想像すると楽しい」楽しそうに笑った。
朝起きた時は結納のことを考えてナーバスになっていたのだけれど、彼女のお陰でリラックスできた。
「それじゃあ、そろそろ会場に行きましょうか?」
美久さんが腕時計にチラッと目をやり、私は「はい」と今後のことを考えつつ身を引き締めながら返事をした。
美容院を出ると、店の前にタクシーが停まった。
後部座席から兄が降りてきて美久さんが声をかける。
「いいタイミング。ちょうど今終わったところ」
「そうか。着物、よく似合ってる」
兄が私の振袖姿を見てボソッと言うと、美久さんがスマホを手に言った。

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