一晩だけあなたを私にください~エリート御曹司と秘密の切愛懐妊~
沖田くんにとって一夜限りの遊びだとしても構わない。
どうせ福井に戻れば、私は好きでもない人と結婚するのだ。
十五分ほど乗っているとタクシーが豪華なタワーマンションの前で停車し、沖田くんが支払いを済ませ、私の手を掴んでタクシーを降りる。
緊張しているせいか無性に喉が渇いた。
お互い無言のままマンションに入り、彼の部屋に向かう。
最上階のペントハウスが沖田くんの部屋だったが、その事実を知って改めて彼が御曹司だと実感した。
同期だけど、私とは違う世界の住人だ。
でも、彼の恋人になる訳ではないし関係ない。
私が欲しいのは沖田不動産の社長令息じゃない。
ただの沖田怜。
地位やお金が欲しいんじゃない。
「やけに静かだな。もっと抵抗するかと思った」
玄関で靴を脱いだ彼が私を見てフッと笑う。
「社内一のモテ男と熱い夜を過ごすのもいいかと思って考え直したの」
彼を好きだとバレる訳にはいかない。
靴を脱いで茶目っ気たっぷりに笑って見せる私の頬に彼が触れる。
「それは期待に応えないとな」

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