一晩だけあなたを私にください～エリート御曹司と秘密の切愛懐妊～

小さな池と赤い橋があり、そのそばに大きな桜の木があって桜が満開になっている。
こんな状況でなければ見事な桜を楽しんでいただろう。
少し庭園を歩いて桜の木の下で松本と向き合った。
「さっきも言ったけど、借りたお金は返します。だから、私との縁談はなかったことにしてください」
お願いというよりは要求だった。
私の言葉を聞いて彼はフンと鼻を鳴らす。
「嫌だね。俺はずっとお前を手に入れたかったんだ。そのチャンスを逃すとでも思うか？」
「私を犯せなかったから執着してるだけよ。あなたは地位もお金もある。どんな女だって手に入れられるでしょう？」
軽蔑するように言う私を松本は嘲笑った。
「わかってないな。手に入れ難いものほど欲しいんだよ」
「子供ね」
吐き捨てるように呟いたら、彼は開き直った。
「子供で結構。俺と結婚すればどんな贅沢でもさせてやる。世界一周旅行でもなんでも」
「生憎贅沢には興味ないの」
素っ気なく返すと、彼がちょっとムッとした顔になった。