一晩だけあなたを私にください~エリート御曹司と秘密の切愛懐妊~
「やめろ!」
松本に向かって叫び、背後から彼を掴んで近くの池に放り投げた。
松本が池に落ちて水しぶきが飛ぶ。
「れ……怜?」
ふらついた雪乃を抱き止め、この腕にギュッと抱きしめた。
「大丈夫か、雪乃?」
俺の言葉に彼女が安心した顔で返事をする。
「うん」
彼女が自分の腕の中にいる。
だが、それだけじゃなくて、ずっと俺から離れようとしていた雪乃をやっと捕まえることができたような気がした。
心からホッとした。
数十秒抱き合っていたら、松本の怒り狂った声が聞こえた。
「お前〜、なにをする!」
俺を睨みつけ、松本はゆっくりと立ち上がる。
全身ずぶ濡れで水が滴っている。
「殺人を未遂にしてやったんだ。感謝するんだな」
冷ややかにそう言い返したら、彼は逆上して俺たちの方に突進してきた。
「この野郎〜!」
咄嗟に雪乃の前に出ると、彼の足に俺の足をかけてバランスを崩したところを押し倒した。
「うっ! いてっ……!」
顔に泥をつけて呻く松本。
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