一晩だけあなたを私にください~エリート御曹司と秘密の切愛懐妊~
そこへ雪乃のお兄さんがやってきた。
「雪乃、沖田さん! これは一体?」
松本が地面に倒れて顔をしかめているのを見てお兄さんが目を丸くする。
「この男が雪乃の首を締めたんです。お兄さん、すみません。警察を呼んでください」
俺の説明を聞いて、彼はすぐにスマホを取り出し電話をかける。
その間に俺はポケットからハンカチを出して松本に近づき、彼の両手を縛り上げた。
「無様だな」
「お前……誰だ?」
松本が地面から顔を上げて俺を見る。
「そう言えばまだ名乗ってなかったな。俺は沖田怜。雪乃の将来の夫だ」
フッと笑みを浮かべる俺を彼は憎らしげに睨みつけた。
「お前が雪乃のお腹の父親か!タダで済むと思うなよ」
「タダで済まないのは松本悠馬、お前だよ。殺人未遂だけでなく、お前には脱税の件もある」
松本の建設会社は普段からブラックな経営をしているせいか社員の恨みを買っていて、ある社員が内部告発したのだ。
「脱税って……」
俺の話に顔色を変える松本を見据え、ニヤリとする。
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