一晩だけあなたを私にください~エリート御曹司と秘密の切愛懐妊~
「お前の会社を調べたらいろいろわかってな。この五年間で五億も脱税してるようだな。親子でしっかり裁きを受けろよ」
「……覚えてろよ」
歯軋りする彼にトドメの言葉を浴びせる。
「沖田不動産を敵に回したんだ。もう廃業した方がいいかもしれないな」
俺の会社の名前を口にしたら、松本は青ざめて項垂れた。
「沖田不動産……ああ……沖田怜」
沖田不動産は日本を代表する大企業。
一方の松本建設は地方の一企業。
沖田不動産を怒らせてはこのホテルの建設のような大きな仕事は回ってこない。
それからしばらくして警官がやって来て松本を連行していった。
「これで一件落着だな」
雪乃にニコッと微笑むと、彼女は不思議そうに首を傾げた。
「ねえ、どうして福井に? それにどうして兄と?」
「昨日、竹下常務に言われたんだ。福井に出張に行けって。お兄さんとは恵子さんを通して連絡を取ることが出来てね。結納をぶち壊して雪乃を連れ戻そうとしたわけ。まあ俺が出て行かなくても雪乃がぶち壊したけど」

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