一晩だけあなたを私にください~エリート御曹司と秘密の切愛懐妊~
2、今は春が嫌い
ザーッと雨の音がする。
いや、これはシャワーの音。
夢か現かわからない状態でそう思ったのだけれども、怜に抱かれたことを思い出してハッと目覚めた。
身体がダルく、下腹部がなんとなく痛い。
上体を起こし、自分の身体に目を向けると、なにも身につけていなかった。
彼はベッドにいない。
きっとシャワーを浴びているのだろう。
甘い夢から一気に現実に戻る。
アルコールを飲んだこともあって大胆なことをしてしまった。
同期で上司でもある彼と寝てしまったけれど、後悔はしていない。
沖田くんにとっては昨夜のことは遊びだっただろうに、優しく抱いてくれた。
この思い出を胸にこれから生きていこう。
ベッドを出ると、床に落ちてた下着を素早く身につけ、ワンピースとコートを手に取り、そっと寝室を出る。
沖田くんと顔を合わせる勇気がなかった。
だってなにを話していいのかわからない。
恋人でもないのに身体を重ねたのだ。
私が経験がないのはバレバレだったはず。
「どうして俺と寝た?」って理由を聞かれたら、きっとなにも答えられない。
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