一晩だけあなたを私にください～エリート御曹司と秘密の切愛懐妊～

頬杖をつきながら悲観的な発言をする私に亜希ちゃんはちょっと怖い顔で怒った。
「先輩まだ二十七ですよ。なにおばあちゃんみたいなこと言ってるんですか！」
「昔は好きな人と結婚するって夢見てたけどね。今は現実が見えてきて、夢も見なくなっ
たな」
結婚という文字を見ると、今は暗い気持ちになる。
遠くを見据えてそんなことを口にしたら、彼女が深い溜め息をついた。
「雪乃先輩みたいな美人が言うセリフじゃないです。先輩に惚れてる男どもががっかりしますよ」
「美人でもないし、私に惚れてる人なんていないよ」
フフッと笑う私を彼女はじっとりと見た。
「先輩、自己評価低すぎです。先輩は結婚してその美人の遺伝子を後世に残さないと罪ですよ」
亜希ちゃんがあまりに真剣な顔で言うものだから、噴き出してしまった。
「私の遺伝子はなくなってもいいけど、亜希ちゃんのは残さなきゃ。私が男なら亜希ちゃんを嫁にしたいよ。かわいいし、世話好きだし、頼もしいもん」
「あっ、それいいかも。先輩が男だったら私絶対に惚れます！」