一晩だけあなたを私にください～エリート御曹司と秘密の切愛懐妊～

福井に戻って結婚したら、私は精神的に壊れるかも。
私の味方はもう誰もいない。
サッと身支度を整えると、会社に向かった。
沖田くんに会ったらどうするか電車の中で悩んでいたのだけれど、会社に着いてみると、彼は朝から客先に向かっていていなかった。
「山本さん、おはよう。沖田課長からトラブル対応で品川に行くって連絡あったんだ。どうやら用地買収で相田がポカしちゃったみたいでさあ」
オフィスに入るなり渡辺くんが報告してきてホッとした。
助かった。
これでしばらくは時間が稼げる。
私にはもう少し心を落ち着かせる時間が必要だ。
同期の彼と寝て平気でいられるほど図太い神経はしていない。
「沖田くんも大変だね」
渡辺くんの話ににこやかに相槌を打って席に着くと、パソコンを立ち上げながら沖田くんとどう接するべきか考えた。
彼にとっては昨日のことはたいしたことではないはず。
だとしたら、いつも通りでいいじゃないか。
なにを悩む必要がある？