一晩だけあなたを私にください~エリート御曹司と秘密の切愛懐妊~
「ずっと言うつもりはないの。部長にもお願いしたんだけど、誰にも言わないで。送別会とか開かれたくないし、同期の沖田くんや渡辺くんが知ったら引き止められそうだから」
きっと私が突然いなくなってみんな驚くに違いない。
でも、二週間もすれば私のことなど忘れるだろう。
私の代わりの人間なんていくらでもいる。
「ああ。沖田さんたちならここに残れって毎日説得しそう」
彼に知られたら、私が結婚することだってそのうち知られてしまうかもしれない。
「うん。それが辛いから内緒にしてて。お願い」
手を合わせて亜希ちゃんにお願いすると、彼女は涙を拭いながらハーッと息をついた。
「私、沖田さんや渡辺さんに恨まれそう」
「部長も同じこと言ってたよ。ごめんね」
退職の話をした時、部長も『僕、沖田くんに怒られちゃうな』と苦笑いしていた。
「先輩のコピー人形作っておいてほしいです」
亜希ちゃんがちょっと笑ったので少し安心した。
「亜希ちゃん、それは不気味だからやめて」

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