一晩だけあなたを私にください~エリート御曹司と秘密の切愛懐妊~
真顔で拒否して、彼女とクスクス笑い合う。
私はいい後輩をもって幸せだ。
その後、私も彼女も業務に戻るが、引き継ぎに関しては隣の席にいるのに亜希ちゃんとチャットを使ってやり取りした。
【引き継ぎマニュアルをひとつドライブに入れておいたから時間がある時に見ておいてね】
私がそんなメッセージを送れば、彼女もすぐに返す。
【了解です。誰もいない時にこっそり確認して、なにかわからないことがあれば聞きますね】
油断すると誰に勘付かれるかわからない。
すでに沖田くんに部長とのやり取りを怪しまれている。
彼のメールが何通かきたけど、全部仕事案件だった。公用メールを私用で使うわけがないとわかっているのに彼からメールが届く度にビクッとする。
そんな精神状態だったから、お昼もあまり食欲がなくて社食の素うどんで済ませた。
夕方になっても沖田くんは戻らず、またひとり残ってマニュアルを作成し、午後八時すぎにオフィスを出たら、一階のエレベーターホールで沖田くんにばったり会った。
「あっ……お疲れさまです。お先に失礼します」
思わず声をあげ、軽く頭を下げて挨拶した。
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