一晩だけあなたを私にください~エリート御曹司と秘密の切愛懐妊~
頭はパニック状態。
あー、私ってバカなの?
今日は会わないと思って油断した。
なんの心の準備も出来ていなかったものだから、同期なのに敬語で挨拶してしまった。
私が意識してるのがバレバレだ。
なにか言われる前に沖田くんの前から立ち去ろうとしたら、彼に手を掴まれた。
「なんで逃げる?」
ビックリして沖田くんの顔を見たら、顔をしかめていて明らかに機嫌が悪そうだった。
「なんでって……家に帰るだけ」
小声で答える私を彼は真っ直ぐに見据える。
「だったら、今日も特に予定はないんだな。夕飯付き合えよ」
「え? でも……昨日も一緒に食べたじゃない」
戸惑いながら返す私に彼はどこか冷ややかな口調で問う。
「昨夜の話、ここでする?」
その言葉を聞いて瞬時に青ざめた。
「……行きます。だから、手を離して」
オーケーしたが彼は手を離してくれない。
「ダーメ。山本、今にも逃げそうな顔してるから」
「ちょっと……誰かに見られたら変に思うよ」
周囲を気にしつつ遠慮がちに抗議するが、彼は平然とした顔で言い返した。
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