一晩だけあなたを私にください～エリート御曹司と秘密の切愛懐妊～

今このタイミングで聞くなんて、こたつに感動してて油断した。
こういうところ、策士だなって思う。
人を懐柔して安心させておいていきなり斬り込んでくるのだから。
「……大丈夫。今日も普通に仕事したから」
もうこの話題を終わらせたかったのだが、彼の質問は続いた。
「なんでなにも言わずに帰った？　俺が今日怒ってるのはそのこと」
じっと私を見据える彼から少しずつ目を逸らす。
「そ、それは会社があって慌ててて。沖田くんとは会社で会うと思ったの」
必死に言い訳するも彼が身に纏っている空気がピリピリしていて声が尻すぼみになる。
「雪乃に何度もLINE送ったんだけど」
「え？　嘘！」
驚きの声を上げながらバッグを探ってスマホを取り出し、画面を確認する。
確かに沖田くんからメッセージが三件届いていた。
朝、昼、夕方とLINEが来ている。
【どうしてなにも言わずに帰った？】
【身体は大丈夫なのか？】
【俺が会社に戻るまで帰るなよ】
まさかメッセージを送ってくるなんて思ってもみなかった。