一晩だけあなたを私にください~エリート御曹司と秘密の切愛懐妊~
「雪乃、嫌いなものある?」
「ううん。でも、私やるよ。沖田くん疲れてるでしょう?」
手を伸ばして取皿を取ろうとしたら、彼に名前の呼び方で注意され手を止めた。
「その沖田くんってふたりの時はやめないか? 怜って呼ばないと、返事しないぞ」
「でも……会社で間違って言っちゃったら……」
周囲に変な目で見られることを想像して不安になる私を沖田くんはじっとりと見た。
「でも、でもって反論しすぎだ」
「うっ、ごめん」
すぐに謝ると、彼はフッと笑って私の前に鍋の具を取り分けた皿を置いた。
「はい。雪乃の分」
「ありがと。沖田……じゃなかった怜ってこういうの慣れてるけど、妹とか弟いるの?」
部のみんなでバーベキューした時も彼は火起こしから食材の準備まで全部仕切ってやっていて世話好き。
部長はなにもせずボーッと椅子に座っていた。
「いや、ひとりっ子。ただ、高校、大学はイギリスで寮生活してたから自炊とか好きだし、女性にやらせるのが当然とは思わない。うちは母さんが料理苦手だったのもあるけど」
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