一晩だけあなたを私にください~エリート御曹司と秘密の切愛懐妊~
怜がクスッと笑うので私も気まずさを忘れて微笑んだ。
「お酒そんなに強くないけど、飲んで雰囲気を味わうのが好き」
鍋に日本酒にこたつ。なんだか幸せな気分。
明日は土曜で仕事はないし、ちょっと気持ちが楽。
それに、怜の尋問が終わってホッとした。
私が辞める前に亜希ちゃんとここに来れたらいいな。
「鍋っていいね。身体もあったかくなるけど心もあったかくなる感じ」
「ああ。俺も鍋好きだな。うちにこたつ置きたくなる。実家にこたつないから」
リラックスした様子でそんな話をする怜。
「御曹司がこたつ入ってる図ってあんま想像できないね。バスローブ着てソファで優雅にシャンパン飲んでそう」
私の想像を彼は悪戯っぽく目を光らせて否定した。
「実際は部屋着着てソファで寂しくビール飲んでる」
「寂しくってのは嘘だよ」
「ホント。家に帰ると誰もいないし、最近なんのために働いてるのかって思う」
急に真面目な顔で悩みを口にする彼がちょっと心配になった。
完璧な人だけど、人間だもの。
私と同じように不安があるはず。

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