一晩だけあなたを私にください～エリート御曹司と秘密の切愛懐妊～

「怜はひとりで全部背負ってるからじゃない？　もっと肩の力抜くといいんじゃないかな。今のペースでいくと四十になる前に燃え尽きちゃうよ」
私のアドバイスに怜はお酒を飲みながら小さく笑った。
「そうだな。雪乃と渡辺にもっと仕事を振ることにする」
「お手柔らかにお願いします、沖田課長」
おどけて言ったら、彼は「その呼び方やめろよ。雪乃に言われるとなんか気持ち悪い」と顔をしかめた。
「ごめん。ちょっとふざけた」
ふふっと笑って熱々のエビを頬張る。
私、普通に彼と話せている。
そのことが嬉しかった。
気まずい状態で彼とさよならしたくない。
笑って怜の前から去りたい。
「お酒もっとちょうだい」
おちょこを差し出してお願いしたら、彼はスーッと目を細めた。だが、その目はどこか楽しげだ。
「課長の俺に命令か？」
「そう。沖田怜、お酒を注ぎなさい」
クスクス笑って命じれば、彼はわざと芝居がかった態度で意見する。
「はいはい、女王さま。ですが、飲み過ぎて酔っ払っても知りませんよ」
「大丈夫。いつだって頭はクリアですから」