一晩だけあなたを私にください~エリート御曹司と秘密の切愛懐妊~
竹下部長は小柄で恰幅がよく、優しいおじいちゃんのような人柄が女性社員にうけている。多くの社員には無能な部長に思われているが、実はなかなかの切れもの。自分は動かないが、社員にやる気を出させてうまく使う。
社長である父も竹下部長のことは信頼していて、彼は四月の人事で常務に昇進予定だ。
『部長はもうちょっと運動したらいいと思いますよ』
俺がそんなアドバイスしたら、竹下部長は意味深に返した。
『そうだね。病気になったら奥さんに怒られるしね。頑張ろうかな。沖田くんもさあ、いい子がいたら迷わず結婚した方がいいよ。いつもそばにいるとは限らないからね』
暗に山本のことを言ってるような気がして心穏やかではいられなかった。
部長なりの俺へのメッセージなのかもしれない。
恐らく山本になにか口止めされているのだ。だから俺に言えない。
明らかになにかあるのに雪乃が俺には秘密にしているのが辛い。
それに言い知れない不安が俺の胸に広がる。
彼女が本当に俺の前から消えたら?
悪夢が現実になりそうで怖かった。

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