一晩だけあなたを私にください~エリート御曹司と秘密の切愛懐妊~
だが、昨夜は無理矢理聞き出すのは諦め、単純に料理を楽しもうと思った。
最近の彼女は明らかに痩せていて、ちゃんと食事をさせたかった。
叔父の店のステーキが気に入ったのか、美味しそうに食べる雪乃を見て安堵した。
その後、シャンパンを飲んで少し酔った彼女をタクシーで送って行こうとしたのだが、予想外のことが起こった。
『沖田くん心配性。全然ひとりで……帰れるのに』
少し膨れっ面で文句を言う彼女を見て、ますますひとりでは帰せないと思った。
酔ってちょっと子供っぽくなっている。
『今の状態だと駅の階段踏みはずして怪我する。住所は? まだ寮に住んでたっけ?』
俺の質問に彼女は『住所……ね』と呟き、ちょっと考えるような表情をして、また口を開いた。
『家に帰りたくないって言ったらどうする?』
雪乃がそんな小悪魔的な発言をしたことに驚いたものの、その誘いに乗った。
彼女は少し酔ってはいたが、物事の判断はついていたから。
『じゃあ遠慮なく』
他の女なら断っていたが、雪乃なら話は別だ。


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