一晩だけあなたを私にください~エリート御曹司と秘密の切愛懐妊~
「俺は諦めが悪いんだ。雪乃が観念するまで口説き続けるから覚悟するように」
彼の笑顔が眩しい。
私にはもったいない人だ。
「怜なら私じゃなくてもお似合いの女性がもっといる」
「それがなかなかいないんだな。ぶっちゃけ話、社会人になってからは恋人なんていなかった」
怜の話が信じられなくて思わず聞き返した。
「嘘でしょう?」
だって噂では毎回違う女性を連れていたって聞いている。
「嘘ついても意味ないし。渡辺にでも聞けば? 見合いはいっぱいさせられたけど、どれも断ってる」
彼の口ぶりだと本当のことを言っているような気がする。
でも、私は彼の恋人にはなれない。
「これからいい出会いがあるかもしれないでしょう?」
彼には誰か素敵な女性と幸せになってほしい。
「最初に誘ったのは雪乃だし、俺を本気にさせた責任取れよ」
甘く微笑んで私の頭をクシュッと撫でると、彼は抱擁を解いて上体を起こした。
「とりあえず話はおしまい。お腹空かないか?」
「お腹?」
急に話が変わってキョトンとする私に、彼はフッと笑った。
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