一晩だけあなたを私にください~エリート御曹司と秘密の切愛懐妊~
富士山を眺めフッと笑う。
もうこんな贅沢もできないかも。
しっかり目に焼き付けておこう。
露天風呂を上がり、また少しだけ内湯に浸かると、脱衣所に戻って浴衣を着て、髪を軽くアップにする。
椿の柄が綺麗で気分もウキウキする。
鏡を見ながらクルッとひと回りしてみる。
だが、その時クラッと目眩がした。
「湯当たりしちゃったかな? なんだか身体が重い」
違和感を覚えながら女浴を出ると、怜が長椅子に座って私を待っていた。
もう浴衣姿の怜はモデルのようにカッコよくてそこに座っているだけで見惚れてしまう。
「ごめん。待った?」
怜に声をかけると、彼は私の顔を見て立ち上がった。
「いいや。俺も二、三分前に上がったとこ。髪下ろしてるのもいいけど、今のもいいな」
「ありがとう」
少しハニカミながら怜を言う私に彼が顔を近づけて囁く。
「浴衣も似合ってる。今食べちゃいたいくらい」
その言葉に顔の熱が一気に上がる。
「もう、これから夕飯だよ」
照れ隠しに怜に背中をバシッと叩いて怒ると、彼の手を引いて部屋に戻った。

< 76 / 243 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop