一晩だけあなたを私にください~エリート御曹司と秘密の切愛懐妊~
最初は御曹司だけに傲慢な人だと偏見を抱いていたのだけど、彼の優しさに気づいてからはどんどん好きになって、溢れそうな気持ちを抑えるのに毎日苦労している。
「美味い。これ山本の手作り?」
ペロッと唇を舐める沖田君に見惚れつつも、つっかえながら注意した。
「そ、そうだけど、もう勝手に摘み食いしないの。沖田くんの席にいっぱいチョコあるじゃない」
沖田くんの机を指差したら、彼は興味なさそうに「ああ」と返事をした。
「それだけあると持って帰るのも大変だよね。紙袋あげようか?」
私の提案に彼はしばし自分のデスクのチョコを見つめた。
「うーん、それより段ボールに入れてうちに送ってくれない?」
「了解」
席を立ってオフィスの隅から空箱を取ってきたら、彼が私のチョコクッキーをせっせと食べていた。
「こらこら、沖田くんも手伝ってよ」
スーッと目を細めて怒ったら、彼はクッキーを咀嚼しながら言い訳した。
「だって、食べ出したら止まらない。これ気に入った」
沖田くんの感想を聞いて顔がにやけそうになったけど、必死に耐えた。

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