一晩だけあなたを私にください~エリート御曹司と秘密の切愛懐妊~
「……子供扱い」
苦笑いする私に彼はとびきり甘い目で尋ねる。
「キスの方がよかった?」
「風邪が移るよ」
私の返答を聞いて、「口にキス出来ないのは残念だな」彼は残念そうに笑った。
それから薬を飲むと、怜に手伝ってもらって浴衣に着替え、ベッドに横になる。
すると、彼は押し入れから毛布を出してきて私にかけた。
「ありがと」
礼を言ったら、彼はベッドの端に腰掛け体温計で私の熱を測る。
「三十八度七分か。朝起きたら下がってるといいな」
「怜って……お母さんみたい。母はもういないからこんな風に世話してもらうと思い出しちゃう」
小さい頃熱が出ると母がついていてくれた。
一緒にいてくれるだけで、安心する。
「じゃあ、今だけ特別に雪乃のお母さんになる」
怜は悪戯っぽく笑うと、私の額にチュッと口付けた。
「おやすみ」
怜の甘い声が聞こえたかと思ったら、瞼も重くなって……気づいたら朝になっていた。

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