一晩だけあなたを私にください～エリート御曹司と秘密の切愛懐妊～

それから一時間ほど見ていたが特に急変する様子はなかったので、電気を消して俺もベッドに入って眠りについた。
だが、雪乃の叫び声が聞こえて飛び起きる。
「いや！　……やめて！」
「雪乃？」
横にいる彼女に目を向けたら、手足をバタバタさせていた。
「雪乃！夢だ！」
彼女の両手を押さえて、そう言い聞かせる。
「いや！」
暴れる雪乃を落ち着かせるのは大変だった。
力を加減をすると、彼女はすぐに俺の手を振り解く。
本気で力を入れないと、近づけないくらい彼女は抵抗した。
「雪乃、目を覚ませ！　夢だ！」
うなされる彼女に向かって叫ぶ。
「こ、来ないで！」
俺の声が届いていないのか、それとも俺だと認識していないのか、全力で拒否する彼女。
「雪乃、目を開けて俺を見ろ！」
何度もそう訴えたら、ようやく目を開けた。
二、三回目を瞬いて俺を見る彼女。
「沖田く……怜？」
雪乃の問いかけにゆっくりと頷き、ベッドの上にある間接照明をつける。
「そう怜だ。怖い夢でも見た？」