一晩だけあなたを私にください~エリート御曹司と秘密の切愛懐妊~
私の話を聞いて怜が面白そうに目を光らせる。
「バレンタインにねえ。ふたりでそんなことしてたとはな。陰でなにを言われてるかわからないな」
「沖田課長が沖田大明神なら俺はなんて呼ばれてるの?」
渡辺くんが興味津々といった顔で尋ねると、亜希ちゃんが悪戯っぽく目を光らせた。
「渡辺さんは女性社員の間では『残念なイケメン』で通ってますよ」
「……残念なイケメンね」
力なく笑う彼を亜希ちゃんは励ました。
「でも、渡辺さん好きな子って結構いますよ。うちの会社では沖田さんの次に人気ですよ。よかったですね」
「へえ、そうなんだ」
亜希ちゃんの言葉に気をよくする渡辺くんの肩を怜がポンと叩いた。
「よかったな、渡辺」
「お前はいつもモテてていいな」
渡辺くんの言葉に怜はちょっと顔をしかめた。
「モテて得することなんて一個もない。好きな相手にだけ好かれればそれで満足」
「おお。さすが沖田さん。男前発言。今恋人いるんですか? よく同期の友達に聞かれるんですけど」
亜希ちゃんがそんな質問をするものだからギョッとした。


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