一晩だけあなたを私にください~エリート御曹司と秘密の切愛懐妊~
だが、怜は余裕の表情で答える。
「ロックオンしている相手ならいるよ。なかなか手強くてね」
「沖田さんでも落ちないって凄いですね。その人美人なんですか?」
怜の話に食いついた彼女がさらに質問すると、怜は私をチラッと見て微笑する。
「ああ。とびきりのね」
ふたりの会話にハラハラせずにはいられない。
嫌な汗が背中をスーッと流れる。
もうその話はやめて!
目で怜に訴えるが彼はスルーして、「髪が長くて綺麗なんだ」なんて話をするから慌てた。
いいタイミングで注文したパスタが運ばれてきて、ふたりの話を遮った。
「あっ、パスタ来たよ。美味しそう」
「ホントですね。ゆっくり堪能したいな。沖田さん、ランチの時間課長特権で延ばしてもらえませんか?」
亜希ちゃんが冗談でそんなお願いをするが、怜は笑顔で断った。
「それはダメだね。それに特権なんてないよ。中間管理職なんて上からも下からも圧力かかって辛い」
「そのセリフ、沖田くんが言っても説得力ないよ。上なんか気にしてないじゃない」
怜の言葉を否定したら、渡辺くんも私に同意した。

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