転生令嬢~彼が殺しにやって来る~
 私の身体は元々、丈夫ではない。
 マシューが産まれた時にも寝込む事はあったが、エルの時はさらに酷かった。
 医師からも二人目は考え直した方がいいとの助言を予め受けていた。 それでもどうしても産みたかったのだ。

 今の邸に住むようになったのはエルが産まれる前。 最初から静養を兼ねて覚悟の上でエルを産んだ。

 邸を探してくれたのはネヴィルと義両親。

 おかげでマシューもエルも穏やかな環境の影響から、元気に暮らせている。 もちろん私も。

「おかあさま! エルがマシューって、ぼくのことをよびました!」

 マシューとエルが庭の真ん中で遊んでいた時、いきなり大声でそう言う。 それは本当に嬉しそうに。

「おや。 俺でもフロタリアでもなく、マシューの名前を一番に呼ぶとは」

 ネヴィルが隣で言いながら笑う。

「マシューに負けてしまったらしいわ」

 私も応じてしまう。 それでもいいのだ、これは何よりも得難い幸せなのだから。
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