転生令嬢~彼が殺しにやって来る~
 ネヴィル様の顔を見ていると、不思議な想いが込み上げて来る。
 どういうわけか、悲しくも辛くもないのだ。
 ただ、彼の何かに気づいた顔を見たくなくて心からの笑みを示して見せた。

「フロタリア、君は何を言っている?」

 中庭を出ると、広い庭園がある。 そこには手入れの行き届いた花壇の花が中央の噴水を囲み彩るように咲いている。
 その庭園の真正面には鬱蒼と茂る緑の木々が正門への白い道を示している。
 そして噴水の左右には寮へと続く道。
寮に行くには、そこを曲がれば良いのだ。

 だが、今の私にはこれが二人の未来のような気がしてならない。
 私の向かう道の先に、きっとネヴィル様はいない。
 もう一方の道にはネヴィル様がいて、その隣にはおそらくエマ様がいる。 そして彼女の肩を優しく抱いている。
 私の道には誰もいなくて、綺麗な花で飾られたアーチ型をした門をくぐって行くのだ。
 私の歩く姿を二人がもう一方の道から、泣きながら見送る。

どうしてだろう。 そんな姿が頭にはっきりと浮かぶ。
これまでの身体的違和感や妙な感覚の理由はよくわからないのに、まるでこれから起きる事が簡単に想像できてしまうのだ。
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