転生令嬢~彼が殺しにやって来る~
帰宅
『誰の事も信用なさらないで』

 その言葉は、エマ様ご自身だったのかもしれない。
 私を心配する台詞すら、嘘だったのかもしれない。
 邪魔者だと告げる為に、あんな遠回しな言い方をしたのかもしれない。

 あぁ、私は本当に考えるのが下手だ。
 私はずっと守られて育って来た。 それが当たり前だったから。

 だが、ここに来て広い世界を知った。
 世間も何も知らない私はどう考え、どう決断したら良いのか、わからない。
 頼れるのは、ネヴィル様のみ。 だが、今はもう遠い存在にしか見えない。

 まるで今の私は図書室で探すべき書物の見つからない、迷える子供だ。

 もう家に帰ろうか。
 このまま、ここに留まる理由がない。
 この先、何を知ったところで絶望しか見えてこない気がする。

 そして、父にネヴィル様との婚約破棄を願い出ようか。
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