転生令嬢~彼が殺しにやって来る~
「フロタリア様が幾ら死んでも無駄よ。 今回は永遠に眠り続けるの、土の下でね。 ネヴィル様と結婚なさらないなら私達を脅かす者が現れる事もないのだから」

「ジャクリン、その手を離して……」

 取ったはずの距離が、気付けば目の前。
 あっ、と思った瞬間にはジャクリンの手が私の首を掴んでいる。
 そして逃げる間もなく、そのまま後ろの壁に背中を突かれた。

 そうだ、彼女の父親は勲爵士だ。 元々、騎士だと聞いている。娘にも何らかの修行をさせていた可能性はある。

 だから平気で私の首を掴めたのだ。しかも片手で。

 ジャクリンの親指が首に食い込んで、痛くて苦しい。 人差し指と中指に徐々に力が入るのがわかる。

「ジャ、ク……。 く、やめ……」

「あら、苦しいのかしら? 私は楽しいわよ? だって貴方の苦しむ姿が見られるのだもの」

「や…て……」

「ねぇ、知ってた? ネヴィル様がエマ様とどこかへ消えたのよ。 あの二人、やはり男女の関係なのね? 貴方は裏切られて捨てられて、私にさえもこんな風に苦しめられるの。 ねぇ、こんなに楽しい事は他にないと思わない?」
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